伊勢物語を読むの著者宇都木敏郎が綴る徒然話、今回は「NHK大河ドラマ 篤姫 を観て」です。世の中は驚きに満ち、日常の全てに興味がそそられます。人生を勉強と追求に掛け・・・2014年4月10日没

NHK大河ドラマ 篤姫 を観て読んで

NHK大河ドラマ 篤姫 を観て読んで

「篤姫」は多くの大河ドラマを観てきた中でも少し良かった。NHKはどういうわけか新人に迎合する傾向が強く、以前の「新選組」の時などひどいもので、下手な演技にはどうにも観ていられませんでした。時代劇に慣れていない新人など採用しないでもらいたいものです。以前土方歳三役に栗原旭というりっぱな顔の俳優がいたことを覚えていて、比較しがちなものですから、よけいNHKのやり方が気に食わなくなってしまうのです。

私は早速「篤姫」の原作を買いこみ、比べてみようと思ったのですが、テレビは原作よりたいへん面白かったです。原作とは違う所があり、老女幾島は目の上にこぶがあって、原作には篤姫がこの生島を最初「こぶ」と呼んでいたとあって、こぶの女優など気の毒で出せませんから、許せます。しかし終り頃には勝海舟がたびたび大奥にいる篤姫に呼び出されて意見を聞かれています。江戸を戦火から守る方法を考え出すにはいろいろ工夫もあったでしょうが、男性禁止の大奥にいくらなんでも勝海舟が呼び出されるはずはなく、原作でもそのような危険な常識破りはしていません。これは天璋院(篤姫)を中心にした形で進めたために、無理をしてしまったと思われます。

NHKは視聴者の常識を破ってまで、なぜこんな無理を通さなければならなかってのでしょうか。

思うに、NHKは「篤姫」を女権拡張の運動にしたかったのではないかと思われます。初め私は原作を面白くみせるための企画かとばかり思っていたのですが、女権拡大運動の企画によったものとしては、いかにも時宜にあつた感じがするのです。でもすこし度が過ぎているのではありませんか。

女性はこのテレビを観て大喜びをしたことでしょう。

日本の男性群よ、気を付けよ。女性たちはこれによって勢いを得、余計に攻勢に転ずるかもしれません。古くから世界に慕われた、日本の「美しきよき日本の女性」の心は失われていく危険性があります。幸いにして、オタンチン・パレオロガス(嗽石「我輩は猫である」用語)はまだまだ健在であると思われますから。